森澄雄の俳句 5

山のプールをひとり歩きの秋の猫(1968年)   『踊子』(昭和43年)




・面白い句である。リズムは7・7・5と崩れて間延びしている。
・まず、驚くのが、猫に季感を感じ取っていること。「秋の猫」という措辞は、私は、あまり見たことがない。そもそも、猫は、春との結びつきが季語では強い。
・しかし、「秋の猫」は、発情期の春の猫と比べて、むしろ、猫の本質的な特徴である、孤独や自由や孤高をよく表現している。
・「山のプール」というのも、たいへんめずらしい詠み方だろう。山にある学校かホテルのプールか。時期を考えると、学校のような気がする。
・「山のプールをひとり歩きの」は、そのプールサイドを悠然と猫が横切っていくところだろう。
・猫の歩調が、7・7・5のリズムと呼応している。
・「秋の猫」は使ってみたいものである。






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