社会操作の一般理論に向けて
社会操作の一般理論に向けて 尾内達也 1 はじめに はじめに、本稿の目的と位置づけを明らかにしたい。本稿は、季報『唯物論研究』一七一号に寄稿した 「『社会操作論』に向けて」(以下、TSM) の続編となる。本稿の表題を「社会操作の 一般理論 に向けて」としたのは、社会操作という社会の中の特殊個別の現象の理論ではなく、社会操作は、社会において 非局所的 であり、同時に、 社会そのものの成立に不可欠な要素 だという認識、言い換えると、 社会操作は社会の再生産メカニズムの前提であり結果である という認識の下で、 社会操作を中核にした一般社会理論 が考えられるのではないかという考えからである。 本稿の目的は、第一に、経験的研究にリンクするために、社会操作の類型化(情報操作・構造操作)と、その定式化および命題化を試みる。 この場合、定式化とは、曖昧な概念・記述を、場合によっては、記号・図式・数式などを用いて、構造・変数・関係として書き換え、命題として真偽を問う前に、「何が何として扱われるのか」を明確化することを意味する。これは、言い換えれば、理論が扱う対象空間を切り出す作業である。 命題化とは、定式化された要素の間において、真偽を問える主張を立てることを意味する。命題は、経験的あるいは論理的な反証可能性・検証可能性をもつ。 次いで、社会操作の成り立つ原理的な根拠を明らかにする。 最後に、一般社会理論へ社会操作を組み込むアイディアについて説明する。 TSMにおいて、社会操作には、情報操作と構造操作の二つの類型があると指摘した。本稿では、まず初めに、情報操作とは、その根本において、 時間と空間の操作である ことを明らかにする。 このテーゼを論証するために、恐らく多くのみなさんにとって、衝撃的な社会操作からお話ししようと思う。 その前に確認しておきたいのは、そもそも、社会操作をどう考えるか、という点がある。 TSMで定義したように、社会操作とは、国家の「一般意思(人民全体の意思)」の実現を 疎外するメカニズム である。 このルソーの提起した「一般意志」を、全体主義的である、あるいは全体主義の起源であるとする議論もある。この議論は、主に第二次世界大...