往還日誌(376)
このFOIA請求に対するCIAの回答を最も単純に解釈すれば、彗星の専門家たちがその可能性を極めて低いと見なしている一方で、一部の政府関係者が3I/ATLASが社会に潜在的な脅威をもたらす『ブラック・スワン事象』ではないかどうかを確認したいと考えた、ということになる。
脅威の存在確率が小さくとも、それが社会に及ぼす影響が極めて大きい場合、その確率と影響度を掛け合わせれば、そうした事象を真剣に受け止め、監視すべきだという冷静な結論に至る。
この教訓は、トロイの木馬を受け入れた後のトロイ市の住民たちや、2001年9月11日および2023年10月7日に展開した出来事のリスク評価を誤ったCIAのような情報機関が、痛い経験を通じて学んできたものでもある。これはパスカルの賭けにも似た発想である。
こうした状況下では、NASA当局は最も可能性の高い科学的解釈を提示する一方で、ブラック・スワン事象の可能性を真剣に検討するCIAの動きは、不必要なパニックを防ぐために公の場から隠されることが奨励された、ということになる。
ブラック・スワン事象の現実性が依然として極めて低いと考えられている段階において、社会的不安や金融市場の不安定化を抑えるためには、これは賢明な政策である。公衆の信頼を維持するためにも、CIAは『狼が来た』と何度も叫んだ羊飼いのように、いざ本物の狼が現れたときに誰にも信じてもらえなくなるような虚偽の警告を発したくはない。
その意味で、『肯定も否定もしない』という対応は、ブラック・スワン事象に関する調査を水面下に保つための最善の方法なのである」。
要するに、CIAは、3I/ATLASに関する評価や報告書、通信が「ある」と言えば、3I/ATLASが技術由来である可能性は低くても、CIAが調査しているのは、技術起源の可能性が「ある」からだということになり、社会的不安や金融市場の不安定化が起きる可能性が高い。
3I/ATLASに関する評価や報告書、通信が「ない」と言えば、公衆の信頼を維持できなくなる。いざ本物の狼が現れたときに、警告しても、誰にも信じてもらえなくなる、ということなんだろうと思う。
つまりは、CIAは、3I/ATLASに関する評価や報告書、通信を、確実に作成しているということである。
3I/ATLASの技術起源の可能性は低いが、国家安全保障上のリスクは、ゼロではないので、調査しているというのが実情だろうと思う。
CIAの報告書の機密解除が待たれる。米国の機密文書は原則として、25年後に自動解除対象になるが、 CIA法第6条は例外中の例外で、25年を超えて、50年、75年、あるいは恒久的に非公開のまま残ることがある。
数年後に、情勢変化や科学的コンセンサス確立されれば、ジョン・グリーンウォルド・ジュニアが、再FOIA請求ということもありえるだろう。
いずれにしても、ジョン・グリーンウォルド・ジュニアは興味深い人物であるし、FOIA請求という制度も大変興味深い。
私の記憶では、日本人でも、FOIA請求ができたように記憶している。