森澄雄の俳句 1

いわし雲城の石垣猫下り来  山姥(昭和44年)



・高松と場所が明記されている。この石垣は、高松城だろう。天守閣は残っていない。現在は玉藻公園となっている。
・高松市では、天守の復元(木造復元)計画が進められており、資料調査や設計検討が続いているらしい。高松市は、市民をまとめるシンボルとして、また、重要な観光資源として、高松城を考えているのだろう。
・失われた城の石垣を猫が一匹降りてくる。この景は、芭蕉の「夏草や兵どもが夢の跡」に通じるものがある。
・この猫は、どこから来たのか。実は、高松城は、水城であり、城の堀には瀬戸内海の海の水を引いている。城自体の石垣は、海水の上にある。
・猫が降りて来て着地する土はない。城の塀の部分の石垣は土の上にあるので、恐らく、猫は塀の石垣を降りてきたのだろう。
・だが、「城の石垣猫下り来」の措辞は、かなりの高さの石垣を想像させ、猫が高いところから石垣を降りてくるダイナミックで素早い動きが目にうかぶ。
・句としては、それが趣旨だろう。大きな城と小さな猫の対比。動かない城と素早く駈け下りる猫の動きの対比。
・鑑賞としても、その方が面白い。だが、最初に述べたように、猫はどこから来たのか? それは、私には、「いわし雲」からのように思えてならない。
・天上の猫が地上の失われた天守閣の石垣を降りてきたのである。

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