往還日誌(305)
■5月30日、雨のち曇り、かなり肌寒い一日だった。
朝食後、妻と夕食のレシピを調整してから、掃除。
午後、上野の東京都美術館へジュアン・ミロ展へ。
雨で、さほど混んでなく、じっくり鑑賞できた。
ミロは、1966年と69年の2回、来日している。
日本の書家の仕事にずいぶん影響を受けたようで、「花火」というシリーズは、前衛書道の趣がある。
日本の禅の思想から来る「無」や「空虚」などもテーマ化していたことを知る。
彼の面白さは、道ばたの小石やなんでもない木々の葉の揺れなどに、価値を見出す感性がもともとあることで、これは、日本の「俳句」そのもの。
ミロは俳句を知らなかったと思うが、その心は、日本へ来る前から俳句的だった。
そうしたところから、世界の民芸品を収集する行動が出てくる。
ミロの書棚には、柳宗悦の本もあったという。
民芸品のような集団的無意識の現れた日常使いの作品には、謙虚さと匿名性があるとミロは、述べている。
ミロは、「匿名性を宿したあらゆる芸術表現」に興味を持っていた。
この観点は、とても面白いと思う。
詩であっても、きわめて前衛的で、同時に、匿名的な詩がありえると思う。
それは集団的無意識を宿した詩だろう。
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ピーマンとセロリを買って帰宅。
きょうは、妻が2品、私が1品、夕食を作った。