往還日誌(317)

 








■7月24日、木曜日。

手元にある深蒸茶が切れたので、八女茶を入手して飲んでいる。なかなか、美味しい。

ベランダのブルーベリーの木は暑さで枯れてしまったが、ゴーヤがよくなっている。


参政党の躍進や支持者について、様々な分析や意見、取材が出てきている。

神谷宗幣代表の反民主主義的な党運営や不倫、セクハラ、パワハラのやり放題の内幕、公設秘書の自殺なども出てきている。

参政党は、躍進はしたが、転落も早いかもしれない。

しかし、日本会議と同じで、地方議会を中心に、草の根的な支援があることと、既存の極右勢力――日本会議や統一教会、ジェンタイル・シオニズムなどと、相互乗り入れができるため、意外に、しぶとく生き残る可能性もある。

さらには、観光立国を掲げ海外からの外国人を呼び込む、オーバーツーリズムを招く政策を国家として行い、技能実習制度を通じて、インドネシアなどから、少子高齢化対策として、移民労働力の受け入れを拡大していく(インドネシア側にも、失業対策という需要がある)という政策や社会構造があり、さらには、米国と一緒になって、『産経』、『読売』など国家利権村メディアを筆頭に、中国を国家として仮想敵国化している以上は、「外国人問題」が、パブリックイシューとして、刺さる条件は変わらないそれが事実に反していても、である。

なので、参政党は、今後も、一定の支持を得ていくと見た方が現実的だろう。


識者の分析や仮説は、もちろん、参考になるが、識者一人の経験と知見は限定的である。こういう場合、大規模な経験的調査の知見が参考になる。

NNN系列30局が、読売新聞とNHKと合同で、投開票日当日に全国47都道府県の投票所で、投票を終えた有権者に対して行った約20万人規模の調査がある。

これによると、比例代表の投票先として参政党と回答したのは、自民党に次いで2番目なのである。

立憲民主党も、国民民主党も維新も上回っている。

これは、驚くべき結果ではないだろうか。

自民党は、惰性で入れる場合があるとしても参政党はニューカマーである。

それだけ、参政党は魅力があったということになる――騙されたとも言える、問題は何に、なぜ騙されたかである。

私の仮説は、「物価高」と「外国人問題」を組み合わせた、神谷代表の言説に、この2つがパブリックイシューとして成立する社会的諸条件があるから騙された、というものである。

その騙し方は、「一緒にやろう、一緒に作ろう」という詐欺なので、参加詐欺とも言える。

実態は、多くの証言があるように、民主的でもなんでもなく、権力志向と独裁志向の強い詐欺師である。

比例代表の投票先として参政党と回答した人を、男女別で見ると、男性の参政党支持が16%で女性が13%になっている。

男女ともに、自民党に次いで2位である。

年代別に見ると、参政党は、高齢者よりも40歳以下の若い人の支持が高い。それは、国民民主党の支持のされ方と同じである。

自民党は逆に、40歳以上になると支持が増えていく。この傾向は、立憲民主党と共産党も同じである。

既存の政党――それが保守であろうか革新であろうが――に票を入れるのが年配者になるほど増えるというのは、分別があり判断力があるとも言える(確信的に入れている)反面、思考停止して、ブランドへの確証バイアスが、年齢的に固まってしまっているとも言える。

無党派層の支持をもっとも得たのは、参政党だった。

これも驚くべきことだろう。

無党派層にもっとも刺さったのが参政党だったのである。

国民民主党の15.1%よりも高い15.6%である。

ここで言う、「無党派層」とは、古谷さんの言うように、生まれて初めて投票に行ったという、「政治的無関心層」も含まれるだろう。

今回の投票率は、58.51%であり、前回の2022年(52.05%)の参議院選挙より 6.46ポイント上昇している。

この数値は、初めて選挙に行ったか、これまで、ほとんど行ったことのない人の数を表している。

そして、もっとも、注目すべきことは、「投票する際に最も重視したことは?」という質問に対する答えなのである。

物価高対策・経済政策が49%で半数なのである。

今回の参議院選挙は、参政党の日本人ファーストをきっかけに、「外国人問題」がメディアにフォーカスされたが、外国人に関する政策は、6.1%だった。

これは、物価高対策・経済政策(49%)、年金・社会保障政策(17.7%)、子ども政策・少子化対策(12%)についで第4番目である。

驚いたことに、裏金問題などの政治改革をあげた人は、4.7%しかいない。

裏金問題は、忘れられた、というよりも、物価高対策・経済政策がより切実であり、かつ、これがあるからこその、政治改革なのだろう。

<生活が苦しい庶民>対<貴族のような裏金議員>という構図が存在している。

これは、外国人に関する政策にも言えて、<生活が苦しい庶民>対<優遇されている外国人>という構図ができる条件を、物価高が作っていると言える。

「物価高対策としての消費税をどうすべきか?」という質問には、53.2%という半数以上が、税率を引き下げるべき、と回答している。

ゼロにすべきは、19.5%であり、現状維持の27.1%よりも低い点は注目すべきだろう。

これは、消費税収は、制度として確立された年金・医療・介護・子育てなどの社会保障施策に要する経費に充てる」という、政府の公式見解が、力を持っていることを示している。

つまり、完全に消費税を廃止したら、社会保障費の財源がなくなり不安なのだ。

だから、一時的に、諸費税を下げる政策に多くの支持が集まっていると見なせる。

この不安という感情は、公式見解への信奉という権威主義的な感情と一体である。

つまり、積極財政の理論を説得しても、消費税の使われ方の事実を示しても消えない――未来に対する不安感情の方が、理性よりも強いからである。

「投票先を決める際に最も参考にしたメディアは?」という質問では、テレビ(28.9%)とSNS・動画投稿サイト(26.8%)が拮抗している。

時代の主要メディアは、SNS・動画投稿サイトに移りつつあると思われていたが、意外に、テレビが善戦している。

これは年齢別のデータはないが、高齢者がNHKなどを多く視聴しているせいだろうと思われる。

選挙区ごとの分析も、時間があったらやってみたい。地域ごとに政治的な性格が浮かび上がてくるはずである。


このブログの人気の投稿

藤田武の歌(5)

往還日誌(316)

往還日誌(290)