往還日誌(328)
klopft
das herz
aller
dinge
schau das
rosenlicht
auf blauem
schnee
zauber
der
schwingung
wunder der
sonne
zieren
die
wolfsnächte
von
geheimnisvoller
zahl zwölf
だれもゐない土地で
森羅万象の心臓が
脈打っている
見よ 薔薇の光が
青い雪に射すのを
鼓動の
魔術
太陽の奇跡が
狼の夜を彩る
神秘の数
12で
※ドイツ語圏や北欧の民間伝承では、冬至から公現祭(1月6日)までの12夜を、「狼の夜(Wolfsnächte)」と言うようである。
この期間は、霊や獣がさまよう「境界の時間」であり、狼の遠吠えが冬の闇を象徴し、魔術や予兆に満ちた時間とされた。
この詩は、この民間伝承をベースにしている。
たいへん興味深い民間伝承だと思う。欧州の合理性の裏側にある、民衆の霊的な感受性が垣間見える。
私のささやかな発見は、12という数字の中に狼が複数隠れている、ということだった。
Zwölfは、Wölfeを含んでいる。
★
もうひとつの詩は、こういう詩である。
es ist
ein
feuerkuss
auf meine
stirn
bin ich
nackt
genug
mit
leeren
händen
unheilbar
der kuss
doch
blind
erblicke
ich
nun die
welt
それは
額への
火の口づけ
私は十分に
裸だろうか
両手には
何も持たずに
だがその口づけには
救いがない
盲て
今、私は
世界を
見出す
※これは凄い詩で、衝撃的である。私は、ガザで空爆に遭い負傷した子供達を思った。
Es stand
Der Feigensplitter auf deiner Lippe,
es stand
Jersalem um uns,
es stand
der Hellkiefernduft
ueber Daeneschiff, dem wir dankten,
ich stand
in dir.
立っていた
いちじくの木片が
あなたの唇に
立っていた
エルサレムが
私たちを囲んで
立っていた
松の芳香が
デンマークの船の上に
その船に私達は感謝した
私は立っていた
あなたの内に
※今、ユダヤ人のツェランが生きていたら、イスラエルをどう見たろうか?